最近、この作家は「幸福」って書くけど、同じ意味でこっちの作者は「救済」って書くな~みたいな、読み比べをしています。例えば前者は「あの人は幸せになってほしい」、後者は「あの人は救われてほしい」、みたいな。具体的に作家名を言えば前者について書きがちなのは金原ひとみ・後者について書きがちなのは三秋縋(個人の見解です)に感じます。どちらのよさもあるなと思います。
11.森博嗣「スカイ・クロラ」(シリーズ)
小説。カタルシスはあまり感じないタイプの小説で、それゆえ全く違う人間、飛行機乗りの人生をリアルに生きるような読書体験になったのがよき。
12.野尻抱影・山口誓子「星戀」
エッセイ(多分)。七十年前の文章に自分が好きな表現が出てくるのが面白い。「しろうとの贅註と断想」、自分が感想書いているときのもどかしさそのまま表してくれたような表現で好きです。
13.星野源「よみがえる変態」
エッセイ。これから世間に広く知れ渡るアーティストの書くエッセイで、期待してるところ全部満たしてきた稀有なエッセイ。
14.星野源「いのちの車窓から」
エッセイ。もう既に十分ヒットしているが、これからも長くヒットを続けるであろうアーティストが書くエッセイで、期待しているところ全部満たしてきた稀有なエッセイ。
15.宮島未奈「それいけ!平安部」
小説。この世界にどうしたって必要だと思われる、「やっちゃえば案外できるかも!」という前向きな気持ちになれる軽やかな一冊。
16.須藤古都離「ゴリラ裁判の日」
小説。人並みの知性を獲得したゴリラの見るゴリラの世界が、ゴリラの言葉を人間の言葉に無理に翻訳して考えているとかではなく、ありのまま捉えているように描かれていたのが印象的。
17.灰谷魚「レモネードに彗星」
小説。全短編が確かにレモネードの爽やかな甘酸っぱさと彗星みたいなインパクトが同居しているものの、テイストが異なり、感受性のチューニングを短編ごとに変えなきゃいけないのが新鮮でした。
18.最果タヒ「もぐ∞」
エッセイ。最果タヒの小説を読んで、自分にない考えを書いているから面白い!と思っていたけれど、この本では食に対するテンションがこんなに自分と重なる人、いるんだ!と驚きました。
19.高田大介「図書館の魔女」(シリーズ)
小説。大国同士の外交をテーマに大スケールの物語を展開しながらも、絶妙な一匙の少年少女の心の触れ合いを織り込んだ巧みな技にスタンディングオベーション。
20.青山南&戸山翻訳農場「O・ヘンリー ニューヨーク小説集」
小説。O・ヘンリーが描く皮肉と夢が大好きです。数多ある翻訳の中でも屈指のよい翻訳、注釈、そして1910年代ニューヨークの絵画が載ってるところ、もう文句なしの小説集!
ひとことじゃなくなってるところもあるのはご愛嬌。
感想を書くために本を読んではいないので、この記事シリーズはめったに更新されないシリーズになりそうです。まあ、ブログ自体が気まぐれ更新なので全ての記事がめったに更新されないといっても過言ではないですね。あしからず!